相続・事業承継Vol.47 相続登記が義務化されます
相続登記が義務化されます
相続・事業承継Vol.47
こんにちは、SUパートナーズ税理士法人の溝口です。
所有者が不明また相続登記が未了で放置されている土地の解消に向けて、相続登記の義務化が令和3年4月に成立・公布され、令和6年4月1日から施行されましす。また、相続登記をしない場合には罰則もあります。
そこで今回は相続登記の義務化について確認してみたいと思います。
(相続登記の義務化の概要)
不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務づけされます。令和3年4月21日に成立し、同月28日に公布されました。この制度は令和6年4月1日にスタートします。
また、実効性を確保するため、簡易な義務履行手段としての相続人申告登記の新設や、住所変更登記等の申請の義務化なども行われます。
*所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法):https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html
(相続登記の義務化の遡及適用)
相続登記の義務化は、遡及適用されるため、施行日前に相続の開始があった場合についても適用されます。そのため、施行日又は自己のために相続開始があったことを知り、かつ、不動産の所有権を取得したことを知った日のいずれか遅い日から3年以内に相続登記を行う必要があります。
(相続登記の義務化における罰則)
新しい制度では、正当な理由がないのに、不動産の相続を知った日から3年以内に相続登記をしないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。
(相続人がすべき登記申請)
〇3年以内に遺産分割が成立しなかった場合
・3年以内に相続人申告登記の申出(法定相続分での相続登記の申請でも可)
・遺産分割が成立したら、遺産分割成立日から3年以内に、その内容を踏まえた相続登記の申請を行う。
・その後に遺産分割が成立しなければ、それ以上の登記申請は義務付けられない。
〇3年以内に遺産分割が成立した場合
・3年以内に遺産分割の内容を踏まえた相続登記の申請が可能であれば、これを行う。
・それが難しい場合等においては、3年以内に相続人申告登記の申出(法定相続分での相続登記の申請でも可)を行った上で、遺産分割成立日(死亡日ではない)から3年以内に、その内容を踏まえた相続登記の申請を行う。
〇遺言書があったケース
・遺言(特定財産承継遺言又は遺贈)によって不動産の所有権を取得した相続人が取得を知った日から3年以内に遺言の内容を踏まえた登記の申請(相続人申告登記の申告でも可)を行う。
義務化のスタートは令和6年4月1日ですが、施行後は施行日前に相続があった場合も適用されることになります。登記を怠った場合は、罰則も設けられているため、未登記である不動産がある場合などは、ご注意ください。