ブログBlog

一般税務Vol.36 商品券は福利厚生費となるのか

商品券は福利厚生費となるのか?

一般税務Vol.36

 

こんにちは、SUパートナーズ税理士法人の木下です。

 

先日、お客様から

「従業員に渡すためにAmazonギフトカードを購入したが、福利厚生費でいいですか?」

と質問がございました。

このAmazonギフトカードやビール券、旅行券などは商品券といい、その取扱いについて、税務調査の際によく問題となります。

特に従業員に対するものは間違えやすいので、一緒に確認していきたいと思います。

 

消費税について

間違えやすいものとして消費税があります。

商品券を購入した時点では消費税が課税されず、商品券を使用して購入する際に消費税が課税されます。そのため、商品券をそのまま従業員に渡す場合には、消費税はかかりませんので注意が必要です。

 

いつの費用か

商品券を購入時に費用にされている方も多いですが、使用するか相手に渡すまでは費用となりません。そのため、期末に残っている商品券については資産に計上する必要があります。

 

給与か福利厚生費か

従業員に商品券を渡す場合にはそれが従業員に対する給与なのか、福利厚生費なのかが税務調査でよく争われます。

会社側からすると同じ費用になるため、どちらでも問題がないように思えますが、

給与の場合、源泉徴収する必要が生じてしまいます。

会社としてはなるべく源泉徴収をせず、福利厚生費に計上したいところですが、

税務調査により、給与として認定されますと、源泉徴収税を怠ったとして、不納付加算税や延滞税を追加で支払うことになります。

また、源泉徴収税額も改めて従業員から回収する必要もありますので、調査で指摘されないように給与と福利厚生費をしっかりと分けていきましょう。

 

お祝いとして渡す場合

例えば、結婚・出産等のお祝いとして、社会通念上相当であると認められたものは福利厚生費となります。

そのため、

1、労働協約や就業規則、内規などでこれら慶弔金に関する規定を設け、規定に基づき支給すること。

2、不相当に高額なものでないこと。

3、特定の従業員ではなく、対象者全てに支給する必要あります。

 

 

給与とされた祝金

誕生日の祝金が給与とされた判例がございます。

詳細は割愛しますが裁決の中で「毎年誕生月に支給されるものであって、

その支給形態等において、広く一般に社会的な慣習として行われているものであるとは認められない。」とあり、

社会通念上相当であると認められたものどうかの基準として、広く一般に社会的な慣習として行われているか否かがひとつの判断基準のようです。

今後、誕生日に祝い金をだす会社が当たり前にならない限りは、給与となる可能性が高いと思われます。

 

創業記念品等

創業記念品や永年勤続表彰品の代わりとして、商品券を支給する場合には、給与となります。一定の要件を満たす創業記念品等は福利厚生費となりますが、現金や換金性の高い商品券に関しては除かれております。

 

例外として、永年勤続者に対して旅行券を支給する場合には、次の要件を満たすことにより、福利厚生費として処理できます。

①旅行券の支給後1年以内に旅行すること

②旅行の範囲は旅行券の額から見て相当なものであること

③従業員に旅行先や日時、支払金額などを記載した報告書と旅行先などを確認できる領収書などを会社に提出すること

④旅行券のうち、1年以内に使用しなかったものを会社に返還すること

 

給与となった場合

先に述べました通り、給与となる場合には源泉徴収が必要となりますが

商品券そのものからは源泉徴収が物理的にできません。

そのため、毎月の給与から源泉徴収額を計算する際に商品券の金額を含めて計算をするか、

商品券を渡す際に従業員から源泉税分の現金を預かる必要があります。