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一般税務Vol.28 確定申告(平成30年分)に向けて_②医療費控除

確定申告(平成30年分)に向けて_②医療費控除

一般税務Vol.28

 

こんにちは、SUパートナーズ税理士法人の溝口です。

 

そろそろ確定申告(所得税)に向けた準備を進める時期になりました。

普段は確定申告が不要な人でも医療費控除や住宅ローン減税(控除)など確定申告をしなければ適用が受けられない制度もあります。

今回は支払った医療費が一定額を超えるときに適用が受けられる「医療費控除」について確認したいと思います。

 

なお、平成29年から従来の医療費控除の代わりに医療費控除の特例としてセルフメディケーション税制が選択できるようになりましたので、

「医療費控除」と「セルフメディケーション税制」それぞれについて確認しましょう。

 

医療費控除について

(1)概要

その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、

その支払った医療費が一定額を超えるときは、所得控除を受けることができます。

なお未払いの医療費は、実際に支払った年の医療費控除の対象となります。

(2)対象となる金額

医療費控除の金額は、次の式で計算した金額(最高で200万円)です。

「実際に支払った医療費の合計額」-「保険金などで補填される金額」-「10万円」

(注1)保険金などで補填される金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、

引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません。

(注2)その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額

 

(3)手続き

医療費控除に関する事項その他の必要事項を記載した確定申告書を所轄税務署長に提出する必要があります。

 

平成28年分までは領収書の提出も義務付けられていましたが、

平成29年分より「医療費控除の明細書」を作成し提出することで、領収書の提出は不要となりました。(保存は5年間必要です

 

また医療保険者から交付を受けた医療費通知がある場合は、

医療費通知を添付することによって医療費控除の明細書の記載を省略することができます

なお経過措置として平成31年分までは明細書を添付せず領収書の添付による申告も可能です。

「医療費控除の明細書」についてはこちらをご確認ください。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/02/pdf/ref1.pdf

 

セルフメディケーション税制

(1)概要

健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行っている方が、

その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の特定一般用医薬品等購入費を支払った場合には、

通常の医療費控除との選択により、一定の金額の所得控除(医療費控除の特例)を受けることができます。

 

※特定一般用医薬品等購入費とは、

・医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)はもちろん、

・ドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)の購入費

いいます。

セルフメディケーション税制の対象となる商品には、購入の際の領収書等にセルフメディケーション税制の対象商品である旨が表示されています。

また一部の対象医薬品については、その医薬品のパッケージにセルフメディケーション税制の対象である旨を示す識別マークが掲載されています。

スイッチOTC医薬品の具体的な品目一覧は、厚生労働省ホームページに掲載の「対象品目一覧」で確認できます。

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000333654.pdf

 

(2)要件

セルフメディケーション税制の適用を受けようとする年分に、

健康の保持増進及び疾病の予防への取組として「一定の取組」を行っている居住者が対象となります。

具体的には、次の取組が、「一定の取組」に該当します。

なお、申告される方が「一定の取組」を行っていることが要件とされているため、

申告される方が取組を行っていない場合は、控除を受けることはできません。

 

①保険者(健康保険組合、市区町村国保等)が実施する健康診査【人間ドック、各種健(検)診等】

②市区町村が健康増進事業として行う健康診査【生活保護受給者等を対象とする健康診査】

予防接種【定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種】

④勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】

⑤特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導

⑥市町村が健康増進事業として実施するがん検診

 

(3)対象となる金額

セルフメディケーション税制による医療費控除の金額は、次の式で計算した金額(最高で8万8千円)です。

「実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額」-「保険金などで補填される金額」-「1万2千円」

 

(4)手続き

セルフメディケーション税制の適用に関する事項を記載した確定申告書を所轄税務署長に提出する必要があります。

「セルフメディケーション税制の明細書」

「セルフメディケーション税制の適用を受ける方がその適用を受けようとする年分に一定の取組を行ったことを明らかにする書類

確定申告書に添付します。また領収書の提出は不要ですが、保存は5年間必要です。

なお経過措置として平成31年分までは明細書を添付せず領収書の添付による申告も可能です。

「セルフメディケーション税制の明細書」

「セルフメディケーション税制の適用を受ける方がその適用を受けようとする年分に一定の取組を行ったことを明らかにする書類」

についてはこちらをご確認ください。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/02/pdf/ref2.pdf

 

終わりに

医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらか片方しか選択できません

控除対象金額や控除限度額もそれぞれ異なるため、支払った医療費の金額によって有利になる方を申告しましょう

また国税庁の「確定申告書等作成コーナー」に医療費控除とセルフメディケーション税制の減税額等を試算できるページも用意されていますので、

そちらを利用してみるのも良いかもしれませんね。

http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/info-iryouhikoujo.htm