一般税務Vol.27 確定申告(平成30年分)に向けて_①住宅ローン減税
確定申告(平成30年分)に向けて_①住宅ローン減税
一般税務Vol.27
こんにちは、SUパートナーズ税理士法人の溝口です。
そろそろ確定申告(所得税)に向けた準備を進める時期になりました。
普段は確定申告が不要な人でも医療費控除や住宅ローン減税(控除)など
確定申告をしなければ適用が受けられない制度もあります。
今回は個人が住宅ローン等を利用してマイホームの取得等した場合に、
ローンの一部が所得税や住民税から控除される「住宅ローン減税」について確認したいと思います。
制度の概要
住宅ローン減税制度は、住宅ローンを借入れて住宅を取得する場合に、
取得者の金利負担の軽減を図るための制度です。
毎年末の住宅ローン残高又は住宅の取得対価のうち、
いずれか少ない方の金額の1%が、10年間に渡り所得税の額から控除されます。
また、所得税からは控除しきれない場合には、住民税からも一部控除されます。
なお申請は、世帯単位ではなく住宅ローンを借入れる者が個人単位で申請することになります。
制度の主な要件
住宅ローン減税の適用を受けるためには、一定の要件を満たす必要があります。
ここでは主な要件を確認します。
(1)取得等の日から6か月以内に居住し、各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
(2)控除を受ける年の合計所得金額が、3千万円以下であること。
(3)住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること。
(注) この場合の床面積の判断基準は、次のとおりです。
イ 床面積は、登記簿に表示されている床面積により判断します。
ロ マンションの場合は、登記簿上の専有部分の床面積で判断します。
ハ 店舗や事務所などと併用になっている住宅の場合は、店舗や事務所などの部分も含めた建物全体の床面積によって判断します。
ニ 夫婦や親子などで共有する住宅の場合は、床面積に共有持分を乗じて判断するのではなく、
ほかの人の共有持分を含めた建物全体の床面積によって判断します。
(4)10年以上にわたり分割して返済する方法になっている借入金があること。
*勤務先からの借入金の場合には、無利子又は0.2%(平成28年12月31日以前に居住の用に供する場合は1%)
に満たない利率による借入金は対象となる借入金には該当しません。
また、親族や知人からの借入金は全て対象となる借入金には該当しません。
(5)居住の用に供した年とその前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと。
(6)中古住宅の場合は、建築された日からその取得の日までの期間が20年
(マンションなどの耐火建築物の建物の場合には25年)以下であること。
これに該当しない場合は一定の耐震基準に適合する建物であること。
手続きについて
控除を受ける最初の年分は、必要事項を記載した確定申告書に、一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
2年目以後の年分は、必要事項を記載した確定申告書に
「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」
「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
を添付して提出すればよいことになっています。
また、給与所得者は、控除を受ける最初の年分については、上記のとおり、確定申告書を提出する必要がありますが、
2年目以後の年分は、年末調整でこの特別控除の適用を受けることができます。
この場合、税務署から送付される
「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」・「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」
と
「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
を勤務先に提出します。
主な必要書類(最初の年分)
・確定申告書
・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
・土地・家屋の登記事項証明書
・請負契約書・売買契約書の写し
・給与所得の源泉徴収票(給与所得者の場合)
終わりに
住宅ローン減税は、新築住宅だけでなく中古住宅も対象となります。
また、増築や一定規模以上の修繕・模様替え、省エネ・バリアフリー改修なども100万円以上の工事費の場合は、住宅ローン減税の対象となります。
ただし別のリフォーム減税(特定増改築等住宅借入金等特別控除)の方が有利な場合もありますので、注意が必要です。
住宅ローン減税の適用にあたっては準備すべき書類も多いので、確定申告期限間近にあわてて準備することのないよう前もって準備しておきましょう