一般税務Vol.22 法定相続情報証明制度 ~相続手続きが簡単に~
法定相続情報証明制度
~相続手続きが簡単に~
一般税務Vol.22
こんにちは、SUパートナーズ税理士法人の溝口です。
今週は相続手続きが簡単になる法定相続情報証明制度がテーマのSUレターです。
相続手続きでは,お亡くなりになられた方の戸除籍謄本等の束を,
相続手続きを取り扱う各種窓口に何度も出し直す必要があります。
今回は登記所(法務局)に戸除籍謄本等の束を提出し,
併せて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を出すことで,
その一覧図に認証文を付した写しが交付される法定相続情報証明制度を確認したいと思います。
制度の概要
相続関係が記載された「法定相続情報一覧図」
と相続人全員の現在の戸籍、被相続人の出生から死亡までの戸籍等の必要書類を法務局に提出すると、
法務局が法定相続情報を認証文付きの1 枚の証明書にして発行する制度です。
この制度は平成29 年5 月29 日からスタートしています。
証明書の利用
証明書を取得した場合はその後の相続手続きに利用できます。
これまでの相続手続きでは、被相続人の戸除籍謄本や相続人全員分の戸籍謄本等の束を、
各機関でその都度提出しなければならず、被相続人が所有していた不動産が複数の法務局の管轄に所在していたり、
数多くの金融機関に口座を有していたりする場合、
全ての法務局・金融機関にこの戸除籍謄本の束を持参して手続きを行うことになります。
このため、戸除籍謄本の束を何セットも準備する必要があり、相続人の費用負担も相当になります。
この証明書を提出することで、書類の束から解放され、手続きも楽になります。
*新制度のため、官庁や金融機関によって対応が異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
利用できる人は?
この制度を利用できるのは、被相続人の相続人です。
手続きは法務局で行いますが、被相続人名義の不動産がない場合、
例えば遺産が銀行預金のみの場合等にも利用できます。
法務局への申出は、被相続人の相続人が行いますが、専門家等を代理人として証明書を取得することも可能です。
代理⼈になれる⼈
① 法定代理⼈
② ⺠法上の親族
③ 資格者代理⼈
*資格者代理⼈は、弁護⼠・司法書⼠・⼟地家屋調査⼠・
税理⼠・社会保険労務⼠・弁理⼠・海事代理⼠・⾏政書⼠に限られます。
手続きの場所は?
証明書を発行できるのは、次の地を管轄する登記所(法務局)です。
① 被相続人の本籍地
② 被相続人の最後の住所地
③ 申出人の住所地
④ 被相続人名義の不動産の所在地
申出は,郵送によることも可能です。
法定相続情報一覧図について
証明書となる一覧図の写しは,相続手続に必要な範囲で,複数通が発行可能です。
また法定相続情報一覧図の保管期間中(5年間)は,
一覧図の写しを再交付することが可能です。
ただし,再交付を申出することができるのは,当初の申出人に限られ、
他の相続人が再交付を希望する場合は,当初の申出人からの委任が必要となります。
その他
被相続人や相続人が日本国籍を有しないなど,
戸除籍謄抄本を添付することができない場合は,この制度が利用できません。
また証明書の発行後に、被相続人の死亡時点に遡って相続人の範囲に変更があった場合には、
当初の申出人は、再度、申出を行うことができます。
おわりに
これまで相続手続きを行う際に、被相続人の戸除籍謄本や
相続人全員分の戸籍謄本等の束を準備していたことを考えると、
「法定相続情報証明制度」は大変便利な制度ではないでしょうか。
相続は何度も経験するものではありませんし、
相続人にとっても不慣れな手続きが少しでも簡便化できるのは有難いですね。
参考:法務省「法定相続情報証明制度について」
http://www.moj.go.jp/content/001222823.pdf