国際税務Vol.25 仮想通貨~各国の対応 ~申告は忘れずに~
仮想通貨~各国の対応
~申告は忘れずに~
国際税務Vol.25
いろいろと世間を賑わせている仮想通貨、興味を持っている方も多いのではないでしょうか。
巷には「億り人」なる人も存在するようですが、儲けたら必然的についてまわる税金問題。
日本と諸外国ではその扱いにどのような差があるのかちょっと調べてみました。
さて今週は外国における仮想通貨の税務がテーマのSUレターです。
昨今は仮想通貨に対する関心が高まり、各国はそれぞれ法制度の対応に追われています。
どこの国も似通った扱いかと思いきや、意外とそれぞれ違うようです。
まずは日本のおさらいから。
日本において仮想通貨で利益(給与所得者の場合20万円以上)が出た場合、
雑所得となり確定申告をして納税する必要があります。
利益が出た都度源泉徴収してくれるわけではないので自ら申告する必要があります。
国内の取引所だけではなく、海外の取引所において発生した利益も申告する必要があります。
雑所得は総合課税の対象なので、給与所得など他の所得と合算して、
合計所得に応じて累進課税となるため個人によって税率はかなり変わってくることになります。
(所得税、住民税を合わせると最高55%にもなります)
海外では
さて、海外においてはどのように税務上取り扱われるのでしょうか。
アメリカにおいて、仮想通貨は通貨というよりは資産”property”との位置づけで、
株式の売買と同様の扱いとなり、キャピタルゲイン税の対象となります。
含み益には課税されず、売却によって利益が実現した時のみ申告する必要があります。
保有期間により税率が異なり、
1年以上保有された仮想通貨が売却により利益を得た場合、0/15/20%のいずれかが、
1年未満の短期保有時には10%から最大39.8%の税率が、それぞれ適用されることになります。
すなわち、長期で保有する人を優遇する税制となっています。
アメリカは州によって独自の税制を持つという特徴があるのですが、
最近ワイオミング州において仮想通貨の税制優遇制度が成立する動きがあります。
これによって仮想通貨に投資する個人や企業を誘致する目論見のようです。
オーストラリアもアメリカと同様、仮想通貨は資産であるとの見解で、
売買益に対してキャピタルゲイン税が課されますが、一万豪ドル以下は非課税となっています。
イギリスにおいては仮想通貨をポンドなどの通貨と換金した際の課税は行われません。
ただし、仮想通貨でモノやサービスを購入した時は付加価値税が課されます。
フランスにおいては当初仮想通貨による利益は商業上、産業上の利益として、
最高45%の所得税がかかっていたのですが、
後に自動車、飛行機、宝石等と同様の動的資産として扱われることになり、
19%の固定税率により課税されることとなりました。
いかがでしょうか・・・諸外国と比較してみると、
申告する利益のハードルの低さや累進税率など日本の税金はちょっと高いかな?という印象ですね。
日本においても譲渡所得と考えるべきではないか、との議論もあり、
日本の税制も将来的に変わっていく可能性もありそうです。
個人的には損益通算が可能になり、固定税率になればかなり魅力的かなと思います。
今後の動向に要注目ですね!