相続・事業承継Vol.23 社長!もちろん新事業承継税制をご存知ですよね?
社長!もちろん新事業承継税制をご存知ですよね?
相続・事業承継Vol.23
平成30年税制改正において、目玉となっている新・事業承継税制ですが、
徐々にセミナーも開催され始めました。
弊社においても5月に副代表の宮崎税理士が東京と大阪において、
保険の営業マンむけに事業承継セミナーの講師をさせていただきました。
反響は大きく各100名程の参加者でした。
この制度は中小企業に大きな影響がありますのでぜひ知っておいていただきたい制度です。
今すぐ後継者に株式を渡したい人も、死ぬまで株式を保有していたい経営者も聞いて損はありません!
ただ、まだ始まったばかりでもあり中小企業の社長には浸透していません。
先日もある会社の社長に概要をお話ししましたが、ご存じありませんでした。
しかし、賢明な経営者様は、すでに具体的な検討を弊社に依頼された経営者様もございます。
日本全国120万社ともいわれる事業承継を行うべき中小企業の早期の事業承継を後押しするため、
これまでの事業承継税制の内容を拡充した10年の期限付の特例措置です。
財務省は当初制度創設に抵抗もあったようですが、
事業承継が進まず廃業が増えれば日本経済が揺らぐことにもなりかねないことから承諾したようです。
新・事業承継税制とは
新・事業承継税制とは、
中小企業者の後継者が、先代経営者等から贈与又は相続により取得した自社株式等について、
一定の要件を満たせば当該株式等にかかる贈与税又は相続税の納税が全額(!)猶予・免除される制度です。
本税制の適用に当たって、中小企業者は「中小企業の経営の承継の円滑化に関する法律」(以下「経営承継円滑化法」)に基づく都道府県知事の認定を受ける必要があります。
特例承継計画書の作成については弊社へご相談ください。
なお、この特例承継計画に記載された特例代表者からの贈与・相続後、
一定の期間内に行われた贈与・相続であれば、
先代経営者以外の株主等からの贈与・相続も、事業承継税制(特 例)の対象となります。
改正のポイントは5つです。
①税制の対象が全株式に拡大
②雇用要件の大幅緩和(実質撤廃!)
③事業承継者の対象者の拡大(複数名もOK!親族外もOK!)
④経営環境の変化に応じた減免(M&Aや廃業にも対応)
⑤相続時精算課税制度の拡大(贈与者の範囲の拡大!)
税理士の役割
次に、特例措置においては
①特例承継計画について認定経営革新等支援機関(以下「認定支援機関」)
による指導及び助言を受ける必要 があるほか、
②一定期間内に従業員数が事業承継時の 80%を下回った場合には、
実績報告 に加え、認定支援機関による指導及び助言を受ける必要があります。
認定支援機関とは、一定の登録した金融機関、弁護士、公認会計士、税理士などを言います。
弊社も登録しております!
中小企業庁「経営革新等支援機関認定一覧」において「神奈川県」をご覧ください。
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/kyoku/ichiran.htm
まずは提出を!
後継者を決定することは容易ではありません。
まだ決められない場合や一度決めてもその後の後継者の行動を見て心変わりすることもあるかと思います。
そういったことにも対応することができる制度となっています。
計画書を提出して株式を贈与・相続しますと事業承継税制の取りやめはできませんが、
贈与・相続前であれば変更計画書を提出して後継者を変更することも可能です。
しかし、迷っていて平成35年3月31日が過ぎると提出ができないため、まずは提出をご検討ください。
提出後はどうなるの?
その後、株式の贈与・相続の申告期限から
5年間は毎年一定の年次報告書を都道府県に提出する義務があります。
そして税務署へも毎年継続届出を提出しなければなりません。
その他5年間の従業員の平均人数が特例適用当初の人数の8割を下回った場合には、
認定支援機関等の雇用減少についての所見、経営改善のための指導及び助言を受け報告書を提出する必要があります。
これは事業承継税制が雇用を維持することを目的としているためですが、
5年間という長い期間の景気の見通しが立たないことから、
やむを得ない事情による従業員数の減少は許してくれるということです。
ちなみに、従業員数とは、下記を言います。
(①+②+③)-④=従業員数
① 厚生年金保険の被保険者の数
② 厚生年金保険の被保険者ではなく健康保険の被保険者である従業員の数
③ 厚生年金保険・健康保険のいずれの被保険者でもない従業員の数
④ 役員(使用人兼務役員を除く。)の数
最後に
この制度ができたのですべてが丸く収まるわけではありません。
確かに納税の面ではかなりのメリットがありますが、
事業承継者だけ納税がなく、その他の相続人は相続税を支払うことへの不満や遺留分の問題があったり、
株価を全く引き下げないで納税猶予をしてしまうと適用対象から外れた際のリスクがあったり、
親族外承継も可能になったが親族からの遺留分の問題もはらみます。
したがって、納税猶予さえすればよいというものではなく、
その他の問題点も洗い出して対策を取らなければ、せっかく事業承継をしても崩れ去る恐れもあるのです。
まずは事業承継専門の弊社にご相談いただければと思います。