国際税務Vol.21 海外取引に係る消費税の取扱い2 ~役務の提供と輸出免税~
海外取引に係る消費税の取扱い2
~役務の提供と輸出免税~
国際税務Vol.21
こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の木下です。
今週は国際取引に係る消費税がテーマとなります。
非居住者と役務提供取引を行った場合、よく問題となるのが消費税です。
役務の提供場所はどこか?輸出免税取引に該当するか?
事例を見ながら課税関係を確認していきたいと思います。
事例
当社は、外国法人からの委託により、国内に所在する不動産の管理を行うことになりました。
外国法人から管理に対する報酬を毎月受け取る予定ですが、この報酬に消費税はかかるのでしょうか?
回答
非居住者に対する役務の提供に該当しますが、国内において直接便益を享受するもののため、
輸出免税に該当せず、消費税はかかります。
役務の提供の内外判定
過去のSUレター(国際税務Vol.3 海外取引に係る消費税の取扱い)でご紹介しましたが、
役務の提供が国内で行われた場合に消費税がかかります。
事例の場合、不動産の管理は国内で行われておりますので、消費税が課税されます。
しかし、非居住者に対する役務の提供の場合は、次の事項を検討する必要があります。
輸出免税取引
非居住者に対する役務の提供は、輸出免税取引となり、消費税が課税されません。
ただし、役務の提供の中でも、非居住者が国内において直接便益を享受するもの
については、輸出免税取引に該当しません。
国税庁では、輸出免税取引に該当しない例示として、下記を掲げております。
① 国内に所在する資産に係る運送や保管
② 国内に所在する不動産の管理や修理
③ 建物の建築請負
④電車、バス、タクシー等による旅客の輸送
⑤国内における飲食又は宿泊
⑥理容又は美容
⑦医療又は療養
⑧劇場、映画館等の興行場における観劇等の役務の提供
⑨国内間の電話、郵便又は信書便
⑩日本語学校等における語学教育等に係る役務の提供
事例の場合、外国法人に対する不動産の管理のため、上記の例示②にあてはまります。
したがって、輸出免税の対象とはならない役務の提供となり、消費税は課税されてしまいます。
国内に支店などがある場合
上記の例示に該当しない取引でも、外国法人の支店などが日本国内にある場合には注意が必要です。
一定の場合を除き、その役務の提供が国内の支店などを通じて行われたものとして、
非居住者に対する役務の提供に該当せず消費税が課税されます。
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