相続・事業承継Vol.4 社長「生涯現役!」⇔承継者「不安しかない…」? ~熟慮と決断の勇気!~
社長「生涯現役!」⇔承継者「不安しかない…」?
相続・事業承継Vol.4
~熟慮と決断の勇気!~
こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の押味です。
数年前から相続・事業承継のブーム感がすごいですね。
セミナーでも書籍でもWEBでも頻繁に目にします。
お客様も皆様勉強家ですので、御詳しい方が多いです。
今週はそんな事業承継がテーマのSUレターです。
事業承継の中でも株式の承継についてです。
株式の承継の中でも種類株式(今回は属人的株式)、また、承継準備の大事さについてです。
社長も承継者の方も是非お読みになってください。
属人的株式とは?
事業承継にかなり有利に使えるのではないでしょうか?以下、制度の概要です。
・株主によって権利(議決権や配当)に差を付けられる株式のこと
・定款の変更のみによって導入ができる(登記が必要ない)
・特殊決議(総株主の半数以上かつ、総株主の議決権の3/4以上での決議)による
※未公開の会社に限ります。
つまり、ある株主は1株100個の議決権、
もう一方の株主は1株1個の議決権、にすることなどができるということです。
(あまりにも極端な場合には会社法の趣旨から逸脱しているとして否定されることもあります)
事業承継に有効とは?課題の確認と解決策
事業承継では様々な課題、しかも矛盾する課題がありますが、属人的株式を活用できればクリアできるものも多いのです。
たとえば…
- 承継者は決めているが、まだ決定権は渡せない、心配だ!
→社長の議決権割合を高める設定としておけば、生前に株式を移転しても支配は継続できます。
- 取引先などの信用に影響するのではないかと心配!
→登記が不要なので、外観ではわかりません。
- 相続人(お子様)が複数いて、承継者だけに生前に株式を移しづらい!
→承継者には議決権の多い株式を、その他の相続人には少ない株式をお渡しになれば量でいうと平等にできる。
事業承継対策の重要性
また、一般的にも、対策が遅れた場合(対策を打たずに亡くなる、認知症になるなど)の問題も多いです。
たとえば…
- 誰が承継するのか定かではなく、従業員、取引先、事業に大きな影響が出る
- 株価が高額で、急な相続税の納税に苦しむ
- 体調を崩されてから対策を打とうと思っても、認知症になってしまった場合などにはかなり困難
このような課題は、生前にタイミングを見計らって株式を承継者に移転しておけば、ほとんどクリアできます。
まとめ
私が思うこういった対策のポイントは、「生前にできる=確実に意思を反映できる」「負担が相続税よりは予測しやすくなる」に加えて「目に見えない効果もある」という点です。
それは、
・社長の抱えている複雑な想いを解決できる方策であること
・社長も承継者の方も、事業を承継していくことについて共通の認識を強く持てること
です。
一番の課題は、そもそも事業承継対策に着手する気がない(「まだまだやる!」「任せる気はあるがまだ早いな」と思っている)ことかもしれません。
しかし、長い目でみて、ご自分の大切な事業をどうしたら良いか、相続人となる方たちにどのように財産を残していきたいか、熟慮を重ね、専門家とも相談しながら不明点を解決し、一番望ましい形で「生涯現役!」を果たすことをお考えになってはいかがでしょうか。