国際税務Vol.5 イギリスにおけるこれからのビジネス~EU離脱に伴う税務の影響~
イギリスにおけるこれからのビジネス
国際税務Vol.5
~EU離脱に伴う税務の影響~
こんにちは。だいぶ春の気配を感じるようになってきました。
早くお花見に行きたくてソワソワしています!
海外を旅していると、いろいろなことを考えさせられます。
改めて日本の良さに気づくこともあれば、深く反省させられることも。
広い世界を見ることによって自分の世界も広がります。
やっぱり日本は狭いです。
若者たちにはどんどん旅に出て視野を広げてほしいと思う今日この頃です。
さて今週はイギリスのEU離脱がテーマのSUレターです。
ヨーロッパを旅していて思うのは移動の自由の素晴らしさです。
異なる言語を使う国へ電車やバス一本で行け、入国審査もなく、
まるで国内間の移動のように気軽に海外旅行ができるのです。
旅行だけではなく、その自由度は仕事や学校にも及びます。
島国に住む日本人にとっては驚くべきことですが、現地の人たちにとってはそれが当たり前なのです。
自分もEUパスポートが欲しい、と何度思ったことか。
たまたまヨーロッパ旅行中に聞いたイギリスEU離脱のニュースは、
なんてもったいない!というのが正直な感想です。
税務面での影響
イギリスがEUを離脱するにあたり、税務面で影響があると言われているのが間接税です。
特に付加価値税(Value Added Tax:「VAT」)や関税は、EUレベルでその制度や枠組みが定められています。
関税 について
EU関税同盟はEU域内における物品の自由移動を実現するもので、域内の関税や通関手続きは撤廃されています。
EUから離脱した場合、当然このEU関税同盟からも外れることになるので、
イギリスとEUは外国同士となり、EUとの取引が輸出入とみなされます。
企業にとっては、関税徴収、通関手続きなど煩雑な手間と追加コストがかかることになります。
VATについて
VATについては、EU域内のVAT指令により標準税率、軽減税率、免税、
課税タイミング等について共通ルールが適用されており、
イギリスはそれを国内法に反映しているため、大きな混乱が起こることはなさそうです。
ただし、EU加盟国でなくなることで適用されなくなる規則の改定は必要となります。
また、EUを離脱することによりEU加盟国との取引が輸出入取引となり、
インボイス手続きや報告手続きが変更される可能性があります。
更にEU各国でVAT課税事業者の登録や納税代理人の任命などが必要になります。
関税と同様に、企業にとっては手間と追加コストを強いられることになります。
日本との関連
日本においてイギリスに拠点を持っている企業は意外に多いそうです。
その理由の一つとして、EU加盟国に対し関税を払うことなく貿易をすることが可能だということがあります。
今後はそのメリットが失われるわけなので、拠点の再配置など、
ヨーロッパにおける経営戦略の見直し、検討が必要になってくるかと思います。
その他にもITシステムの変更や、
VAT税率変更の可能性を視野に入れた販売戦略の再検討も必要ですね。
海外展開する企業にとって他人事とはいえないこの件、
時間はあっという間に過ぎてしまうので、早急な対応が必要となりそうです。