その他Vol.7 生命保険商品への驚き、再認識 (1)
生命保険商品への驚き、再認識 (1)
~その他Vol.7~
超長期のコミットメント
今回は税理士の阿部が担当します。
銀行員時代の先輩の縁がもとで、とある生命保険会社の社外取締役に就任いたしました。
それまで、税務の面から生命保険の関係することはあっても、
正直生命保険には全くと言っていいほど関心もなく、内容がよくわからず、
どちらかというと敬遠している分野でした。
しかし、お引き受けする以上は、と生命保険の勉強を始めてみると、
この分野の凄さに驚かされました。
まず、生命保険契約は、保険料を払い込んで貰い、保険事由が発生した場合に保険金を支払うという超長期に渡る支払いコミットメント行っていることです。
痩せる結果をコミットメントする会社がありますが、
結果がでなければお金を返金するというコミットメント商売がオオハヤリです。
生命保険は受け取った保険料を一定の利回りで運用し、5年、10年、20年、
時に30年以上に渡り、保険事由が発生したならば必ず保険支払いをコミットメントするという、超長期間のコミットメント契約だということです。
金利情勢、為替情勢、経済が日々激動する中にあって、
一定の利回りを確保する生命保険は何というリスク引き受けのビジネスなのか改めて脅かされるばかりです。
このような、超長期のコミットメントをする金融ビジネスは外にないでしょう。
銀行で取り扱っている定期預金でさえ3年や5年といった期間の支払いのコミットメントです。
銀行間の貸借においては、コール市場でオーバーナイトという一夜越しの貸借もあり、
とても生命保険のように超長期の支払いをコミットメントする金融ビジネスはないのです。
保険商品は全く驚きの金融商品です。
そして、一旦保険商品を販売すると一契約金額が数百万円から数千万円、
時に億にはものぼるので、保険会社の保険商品の契約金額総額はとてつもない金額となり、
一保険商品で、支払いをコミットメントする金額は数千億円にものぼりますので、
保険会社全体の抱えるリスクエックスポージャーは莫大な金額になるのです。
実際、過去に発売した高い予定利率の契約による満期金等の支払いが、保険会社の運用利回りを大きく上回ってしまったことで、支払いコミットメント履行出来なくなり、
1997年の日産生命、1999年の東邦生命と全部で7社もの生命保険が破綻しました。
幸い、すべての保険会社の保険内容を変更しながらも、
他の生命保険会社に引き継がれていますので、最悪の事態は回避されています。