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相続・事業承継Vol.9 家族信託の怖〜いお話

家族信託の怖〜いお話

相続・事業承継Vol.9

 

“まずは後見制度について”

認知症になり法定後見人がつくと本人にかわって財産管理を行ってくれるのですが、

これはあくまで本人のための財産管理であり、

家族や第三者のために財産の活用、例えば相続対策などは出来なくなってしまいます。

成年後見制度では、財産の管理行為や処分行為が制限されているのです。

 

“家族信託について”

そこで、最近は親族を財産管理の受託者とする家族信託が流行っています。

しかし、家族信託は商事信託と異なり、個別性が高い上、

制度として新しい仕組みであり、

期間の長いことが多く様々なリスクを抱えることになることもあるのです。

今回、その怖いお話をご紹介しようと思います。

 

例えば…

例えば、

・父を委託者 兼 受益者

・甥を受託者 兼 残余財産の帰属権利者

とする信託契約を結んだとします。

この信託契約で、

・信託の終了事由として「受益者が死亡した場合」

と定めてあれば、その残余財産の帰属権利者である甥が、父の死亡=信託の終了によって、遺贈により残余財産を取得したものとみなし相続税が課されます

これは、受益者と帰属権利者が異なる場合には、

信託の終了の時点で経済価値が受益者の死亡により受益者から帰属権利者へ移動することから、

税務上は遺贈とみなして課税関係を定めたものです。

 

問題点は…?

問題なのは、上記の例と異なり、

・信託の終了事由に「受益者が死亡した場合」を掲げていない場合

で、

・信託契約で次の受益者の指定が無いときや、

・次の受益者に指定された者が死亡していたり(未だ出産していない)するとき

です。

このような信託契約で元々の受益者が死亡すると「受益者が存しない信託」となり、

税務上は下記のように、とんでもない課税が発生するのです。

 

甥が法人とみなされて、信託財産を受託者である甥(法人)に贈与したものとみなされます。その信託財産が不動産等の場合、所得税法上、個人から法人へ時価で譲渡したものとみなされます。

 

②受託者である甥が、無償で財産の受贈がされたものとして、法人税が課税されます。

 

③更に、受託者である甥は、父から遺贈を受けた者として相続税が課されます(上記②の法人税相当額は控除されます。)

 

まとめ

まさに、これでもか、これでもかと課税の波が押し寄せて来ることになるのです。

 

これも、信託契約において、受益者が死亡した場合の取り扱いを間違えたばかりに発生する悪夢なのです。

しかも、信託契約の変更は容易ではありません

信託契約を結んだ後、長い年月を経て、取り返しのつかない課税問題が明るみになることもあるのです。

 

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