その他Vol.10 欠損填補と均等割~均等割を安く抑える~
欠損填補と均等割
その他トピックスVol.10
~均等割を安く抑える~
こんにちは、SUパートナーズ税理士法人の木下です。
資本金の大きさにより、税率や税額控除額が変わるなど、
資本金と税負担には密接な関係があります。
資本金を一億円以下にし、税制上の優遇措置を受けようとして批判された大企業もありましたね。
今週はそんな資本金と税負担のうち、
住民税の均等割がテーマのSUレターとなります。
平成27年度の改正により、法人住民税の均等割の基準となる金額に変更がありました。
赤字が続いている会社では、無償減資に係る欠損填補により、
均等割が安くなるかもしれません。
そもそも均等割って?
法人のもうけに関わらず、事務所や事業所(以下、事務所等)がある各都道府県・市町村に支払う税金で、従業員の数や法人住民税の資本金等の額により納付額が変わります。
例えば、東京都(特別区内で従業員50人以下)ですと
法人住民税の資本金等の額1千万円以下で年7万円、
法人住民税の資本金等の額1千万円超~1億円以下で年14万円の納付額となります。
無償減資に係る欠損填補って?
会社の資本金等を減少させて、
欠損金(赤字の積み重ね部分、その他利益剰余金のマイナス)に填補することです。
減資すると均等割が安くなる?
以前までは、法人住民税の資本金等の額は、
法人税法上の資本金等の額(資本金や資本準備金などに調整を加えたもので、
無償増減資を行っても金額が変わりません。)でした。
しかし、平成27年度改正により、
法人税法上の資本金等の額に無償増減資を加減算したものが、
法人住民税の資本金等の額になりました。
そのため、欠損てん補により資本金が減少した場合に、
法人住民税の資本金等の額が減少するので、
均等割の納付額を減少させることができるのです。
※増資した場合には、資本金等の額が増加します。
また、過去に行われた増減資も対象となります。
欠損てん補の手続き
資本金等の額を減少させるため、株主総会の特別決議が必要となります。
なお、無償減資による欠損てん補の場合、定時株主総会の普通決議でも可能です。
また、資本金を減少させる場合には、債権者保護手続きとして、
公告や催告を行う必要があります。
登記届け出を忘れずに
資本金の額が減少した場合には、登記を行う必要があります。
また、税務署等にも異動届出書を提出する必要もあります。
確定申告では
確定申告の際には、上記の株主総会議事録や、
債権者に対する異議申立の公告(官報の抜粋)、
株主資本等変動計算書が必要となります。
最後に
登記や公告・催告などの手続きには、費用が発生しますので
均等割を抑えるために無償減資を行う際には、費用対効果を確認しましょう。