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国際税務Vol.11 もう税理士は必要ない?~エストニアの電子政府から見える未来~

もう税理士は必要ない?

国際税務Vol.11

~エストニアの電子政府から見える未来~  

こんにちは。少しずつ秋の気配が感じられるようになりました。食欲もレジャーもこれからが本番でワクワクしています!

 

 

ヨーロッパの人口わずか130万人の小国エストニアは、

刷新的な制度で世界中の注目を集めています。

その制度の影響で現地の税理士の仕事がどんどん減少しているそうで・・・

 

さて今週は税理士業界の危機?がテーマのSUレターです。

 

エストニアの基本情報

北欧の国エストニアはフィンランドから約90km南に位置し、人口は130万人、

面積は約45,000キロ平方メートルという小国です。

「ヨーロッパの絶景~」の類の本にまるでおとぎの国のような景色がよく載っており、

赤い屋根が連なる写真を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

 

電子政府のオモテとウラ

この小さな国が、「e-Government(電子政府)」に取り組み、

ITの分野で世界の最先端を突き進んでいます。

この制度のもと国民はIDカードを配布され、

そのカード1枚で身分証明書、運転免許証、健康保険証等を兼ねるほか、

銀行口座へのログイン、選挙、納税、などの様々な手続きを行うことができます。

例えば、選挙の際国民はIDカードでログインし、

インターネットから投票することができます。

海外にいる人もネット環境があれば投票することができるため、

事前の不在者投票などに行く必要もありません。

 

法人登記もインターネット上で簡単に行うことができます。

 

また電子カルテ制度もあり、異なる病院で受診したものも全て統合して管理され、

医師はこれを閲覧して治療にあたることが可能です。

 

この便利なシステムは、裏を返せば全ての国民の情報を国家が握っていることになります。

預金残高も把握されており、課税額の計算もほぼ自動的に計算されるようです。

 

電子政府における税務

税制も簡素化された(所得税は法人、個人とも一律20%など)ため、

国民はe-taxシステムにおいて自分の納税額を確認し、

承認するだけで確定申告が完了するので、

税理士にわざわざ依頼する必要もないわけです。

 

もう税理士はいらない・・・?

 

実際、個人に対する節税のアドバイスや申告業務はどんどん減っており、

かろうじて法人相手の業務は残っているものの、

付加価値のあるサービスを行うことが難しくなっているとのことです。

 

日本では?

日本も同様のシステムが導入され、電子政府による個人の管理が徹底されたとしたら、

税理士が必要ない時代になるのでしょうか。

エストニアの現状を知るにつれ、日本の税理士業務の先行きが不安になります。

 

ただ、日本の税制は世界的に見てもかなり複雑で難解な部類に入るものなので、

この税制自体がもっと簡素化されない限り、

急激に税理士の需要が減るということはないのではないかとは思っています。

また人口130万人の国だからこそできた面も多くあり、

そもそも人口が全く違う日本において簡単に実現というわけにはいかないでしょう。

 

しかしながら、今後は海外の進んだ制度をどんどん取り入れて業務を効率化することも必要で、

時代の変化とともに税理士を含む専門職の立ち位置も変わってくることは間違いなさそうです。

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