相続・事業承継Vol.13 連帯保証債務
連帯保証債務
相続・事業承継Vol.13
こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の乾です。
11月となりかなり秋めいてきましたね。あっという間に今年も駆け足で終わってしまいそうです。
少し落ち着く秋の時期を利用して社員旅行を計画しています。
とは言っても泊りではなく日帰りのバス旅行ですが案外楽しめますよ。
現在2,3か所候補があり、まだ(!)最終確定はしていませんが、どこかの紅葉を見に行くといったものになりそうです。
お土産話は各担当者の訪問時に聞いてみてください。
社長と事業承継のお話をする際に必ずお話しすることがあります。
「連帯保証」についてです。
必ずと言っていいほど社長は会社の借入金に対して個人連帯保証を行っていますよね。
社長にもしものことがあったときに、
連帯保証はどのような影響があるかご存知でしょうか?
良くある勘違いが下記です。
1.会社の借金であるため個人の相続と関係ないと思っている。
2.遺言で後継者に株式と借金は相続させる、と指定しておけば他の相続人に影響ないと思っている。
3.相続税の債務として財産から差し引けると思っている。
「えっ」となった社長さん、よく読んでくださいね。
相続上の取り扱い
社長が自分の会社のために行っている「連帯保証」は、
社長の相続により当然に分割され、法定相続人が連帯保証債務を引き継ぐことになります。
法定相続人の意思(分割協議)や遺言は関係がありません。
そして、相続税を計算するうえでは債務を履行することが確定していないため、
相続税の債務控除の対象とはなりません。
従いまして、事業の後継者もそうでない相続人も連帯保証債務(各々法定相続分)を抱えたまま事業を引き継いでいくことになるのです。
これを後継者以外の親族がそばで聞いていたら「ぎょっ」としますよね。
「冗談じゃない!社長(お父さん)!お兄さんは事業を引き継ぐからいいけど、
私は安い給料で経理だけやっているのに連帯債務を引き継ぐなんて
聞いてないわよ!!」となりかねません。
もちろん私も社長以外のご親族がいる前で
軽々にそのような話をすることはありませんのでご安心ください。
しかし、真剣に考えなければならない問題です。
もう少し詳しく
法的に詳細を見てみましょう。
債務も遺産分割協議により内部(相続人間)の負担割合を定めることはできますが、
債権者には対抗できません。
つまり、債権者は会社が支払えない場合に、法定相続人の誰に請求しても良いのです。
例えば相続人が協議して、お兄さんが財産をすべて相続して、弟がすべての借金を負う、
と協議されてしまうと債権者は財産を取りはぐれてしまうため、
債権者を保護する観点から法定相続分で相続されることになっています。
相続放棄は…
唯一債務を逃れる方法としては、「相続放棄」をすることです。
相続放棄をした場合には、さかのぼって相続人ではなくなりますので、
債権者の意向にかかわらず、確実に債務を承継しないことができます。
しかし、残念ながら財産も相続できません。。。
社長ができること
社長は会社も家族も守るために、
会社の債務について手当てをしておかなければいけないのです。
もちろん潤沢に預貯金などの金融資産を保有している会社であれば、
借入金の返済もできるでしょうから何の問題もありません。
しかし、中小企業では中々難しいものです。
日々の資金繰りも大変な企業も多いはずです。
そのためお元気なうちに保険を活用することも有用な手段の一つです。
社長が亡くなるということは、中小企業にとっては非常に大きな波風がたちます。
社内の動揺、信用力の低下により金融機関から融資の返済や打ち切りの要請が起きる可能性、
取引先離れによる売上の減少の可能性など様々な不安要素があります。
そのような局面で資金的な面だけでも潤沢であれば
心の余裕が違うのではないでしょうか。
さらに言いますと、息子に譲って安心している元社長も息子に
もしもの事故があれば同じことが起きるのですからね。
念には念をいれてください。
保証はいくらくらいあればいいか
最後に借入金に対する保証をいくらにすればよいでしょうか?
「借入金の1億円と同額の保証の保険でしょ。」という声が聞こえてきそうですね。
答えは・・・違います。
単純な借入金額とは異なりますのでぜひご相談いただければと思います。
事業承継、相続でお悩みの際はぜひお問い合わせください。