相続・事業承継Vol.15 株価が3種類もある!?~パート2~
株価が3種類もある!?~パート2~
相続・事業承継Vol.15
こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の乾で
す。
先月は自社の株価の計算方法について書きましたが、
よくわからなかったという方も多かったと思います。
税理士でも簡単とは思えないのですから当然です。
「株価はいくつかの計算方法があるのだなぁ」
とだけでも理解しておくだけでも良いと思います。
細かいことは税理士がやります。
そして、「株価は自由には選べません!」
・・・が、ある程度コントロールができる面もあります。
相続や事業承継のお悩みの方は、
ぜひ弊社へご相談いただければ検討させていただきます。
さて今月お伝えしたいのは
「非上場会社の株価は取引の状況により3つある」
ということです。
「え~!!!計算方法が複数ある上に更に3つもあるだって!」
という声が聞こえてきそうです。
株式を動かす方法の3パターン
株式を動かす方法には、
①譲渡と②相続・贈与
の2種類がありますよね。
さらに①譲渡には、相手が個人の場合もあれば法人の場合もあります。
つまり、
①譲渡(個人との取引の場合)
②譲渡(法人との取引の場合)
③相続・贈与
の3パターンの取引があるのです。
※本ブログでは理解を優先し詳細なパターンは省略いたします。
「だからといって、誰と取引したって株価が同じでないと税務上問題になるのでは?
会社の顧問の税理士さんに、
いつも関係者であっても第三者と同じ金額で取引しないと
寄付金等の課税の問題が起こると言われるよ?」
税金の種類が違う
おっしゃる通りです。
同じ資産は誰と取引しても同じ価格にしなければいけない
と考えるのが(税金上は)正しいのです。
しかし、3パターンをもう一度良く見てください。
取引を想定してみましょう。
①個人が個人へ売却して利益を得た。
②個人が法人へ株式を売却した。
③親から子供に株式を贈与した。
どうでしょうか?何か気付きましたでしょうか?
①は個人のもうけに対する所得税の世界
②は買った法人に対する法人税の世界
(詳細には個人側の所得税もありますが、複雑になるため省略いたします)
③個人間の無償による財産の移転、つまり相続贈与の世界
という3つの違った税金の世界があるということです。
みなさんご存じのように、
所得税は個人のもうけに対する税金、
法人税は法人のもうけに対する税金、
相続税(贈与税)は個人間の無償の財産の移転(取得)に対する税金
です。
これら3つの税金は全て独自のルールとなっているイメージです。
だから価格は違って当然なのです。
税金の種類によって、株価が変わる
さあ、それではどのような株価となるのでしょうか?
(税理士向けのブログではないため大まかな理解を優先し、詳細を省きます)
個人→個人の譲渡
①については、所得税に明確な規定はないので、いくらでも良いのですが、
実務的には相続税(財産評価基本通達)の世界の方法により計算されることが多いです。
つまり、これより安くても高くてもどちらかの個人が利益を受けるので、
贈与があったとみなされる恐れがあります。
※計算方法については、前月のブログを参照してください。
個人→法人の譲渡
②については、法人税(基本通達)の世界の方法により計算されます。
この方式によると相続税の世界の方法よりもかなり高めになることが多いです。
(参考)法人税法基本通達9-1-14(概要)
課税上の弊害が無い限り、
相続税の財産評価基本通達に下記3つの調整をして株価を算出します。
1.小会社方式を使う。
2.評価する法人が保有する土地と有価証券を時価評価する。
3.純資産価額の計算に当たり、評価差額に対する法人税額等に相当する金額を控除しない。
個人→個人の贈与等
③については、もちろん相続税(財産評価基本通達)の世界の方法により計算されます。
純粋な第三者同士の場合は?
当たり前ですが、純粋な第三者同士(この言葉もかなりシビアにとらえます。
ここでは省略)の取引であれば、上記3つ以外の経済合理性に基づく価格となります。
もうみなさんお腹いっぱいだと思いますのでここまでにしたいと思います。
非上場株式はとても深いです。
もっと詳細があります。
くれぐれも税理士に相談せず株式の移動を実行することが無いようお願いいたします。