国際税務Vol.17 相続税の見直しで外国人がやってくる!? ~短期滞在外国人の相続税の見直し~
相続税の見直しで外国人がやってくる!?
~短期滞在外国人の相続税の見直し~
国際税務Vol.17
こんにちは。
SUパートナーズ税理士法人の宮崎です。
平成29年税制改正では、
日本に短期滞在する外国人に対しての相続税が見直されました。
外国人に相続税がかかるの?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
そうなんです。
相続税法では、日本に住所を持つ外国人の方が死亡した場合、
親族が海外に居住していても、全世界の財産に日本の相続税が課税されるのです。
例えば、
日本の子会社に数年の契約で派遣された外国人が、
日本に居住して2年後に亡くなった場合、日本の財産だけでなく、
海外の財産も全て、日本の相続税の対象となります。
そのため、様々な弊害がありました。
改正前の様々な弊害の事例
経済産業省資料「平成29年度経済産業関係税制改正について」では、
下記の事例が掲載されています。
<欧州出身者>
日本に赴任して2か月後に死亡。全世界財産に日本の相続税が課され、
日本の相続税支払いのため、母国にある自宅の売却を余儀なくされた。
<欧州出身者>
日本で死亡すると欧州にある財産に対しても日本の相続税が課税されるので、
日本駐在を中断して帰国した。
<米国出身者>
日本への出向契約書の中で、日本で死亡した場合の日本の相続税について
会社と駐在員のどちらが負担するか揉めた。
<欧州出身者>
日本赴任期間中に亡くなった際に日本の相続税が課されないようにするため、
赴任前に主要財産を親族に贈与しなくてはならない。
以上のような弊害があったため、平成29年税制改正で、下記のように改正されました。
①単身赴任で在留している外国人が死亡した場合、
外国に住む親族が相続する財産の課税対象を国内財産に限定する。
②家族帯同で日本に在留する外国人が死亡した場合、
家族が相続する財産の課税対象を国内財産に限定する。
③日本に在留する外国人の、外国に在住する親族等が死亡した場合、
当該親族の有する財産の課税対象を国内財産に限定する。
この改正により、相続税の面だけは安心して日本に赴任することが可能になります。
政府としては、高度外国人材を増やしたいとの意向があるため、
その推進策の1つとしての税制改正ですが、
これを機に外国人が増えていくのでしょうか。