その他Vol.17 配偶者控除の改正 ~103万円の壁を超えられるか~
配偶者控除の改正
~103万円の壁を超えられるか~
その他Vol.17
こんにちは、SUパートナーズ税理士法人の木下です。
今週は配偶者控除がテーマのSUレターとなります。
一時期、配偶者控除を廃止して、夫婦控除を新設する話もあった配偶者控除ですが、
平成29年度改正により、新しい配偶者控除が平成30年度からスタートとなります。
そもそも配偶者控除とは?何が今までと違うのか?
従来の配偶者控除を確認しつつ、
改正によるメリット・デメリットを確認していきたいと思います。
従来の配偶者控除
配偶者控除は、納税者と生計を一にする配偶者の合計所得金額が38万円以下の場合、
納税者の所得から38万円を差し引くことができます。
よく「103万円の壁」と言われていますが、
これは配偶者の給与収入が103万円(他に収入なし)の場合、
※給与所得が38万円(基礎控除額と同額)となり、
配偶者控除によって、納税者の税金が安くなるためです。
(給与収入103万円-給与所得控除(給与に対する概算経費)65万円=所得38万円)
従来の配偶者特別控除
実は、配偶者の所得が38万円を超えている場合でも、
76万円未満であれば、38万円~3万円の配偶者特別控除を受けることができます。
給与収入でいうと141万円未満ですので、「141万円の壁」と言われています。
ただし、配偶者控除と違い、納税者の合計所得金額が1,000万円
(給与収入で1,220万円)以下でないと適用することができません。
配偶者控除等の改正
さて、今回の改正で何が変わったかと言いますと、
38万円の控除を受けることができる配偶者の所得が
38万円(給与収入で103万円)→85万円(給与収入で150万円)まで拡大したことです。
また、配偶者特別控除の上限も
76万円(給与収入で141万円)→123万円(給与収入で201万円)と拡大しております。
今回の改正でデメリットも
ただし、メリットだけではありません。
今回の改正により、納税者の合計所得金額が1,000万円以下でないと
配偶者控除を受けることができなくなったのです。
また、1,000万円以下でも、金額によっては配偶者控除できる金額が減少しております。
以下、控除できる金額についてまとめました。
住民税も同様
住民税についても、配偶者控除・配偶者特別控除の規定があります。
こちらも改正があり、所得税と同じく
給与収入201万円以下で適用することができます。
ただし、控除額は最大33万円と所得税とは異なります。
配偶者控除以外も考慮する必要あり
健康保険や厚生年金の被扶養者については、注意が必要です。
年間収入130万円超(一定の企業の場合、106万円超)の場合、
被扶養者から外れてしまい、保険料を負担する必要があります。
配偶者に所得税が課税されるラインも給与収入103万円となりますし、
住民税についても注意が必要です。
そのため、納税者の配偶者控除以外も考慮して、給与収入を考える必要があります。