相続・事業承継Vol.18 事業承継概論 ~事業承継概論 その①入門 事業承継とは何ぞや~
事業承継概論
~事業承継概論 その①入門 事業承継とは何ぞや~
相続・事業承継Vol.18
皆様こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の押味です。
今回から3回シリーズで
“①事業承継とは何ぞや?”
“②事業承継の課題と対策ってなに?”
“③実際に取り組むにはどうしたらいい?”
という内容で参ります。
ご自分や身近で、事業承継に本腰を入れて取り組んでいる方はいらっしゃいますか?
弊社のお客様のなかでも比較的少ないように感じます。
というか、そもそも正直「事業承継ってよくわからない!」と思いませんか?
今回はココを読み解いていきます。
なぜよくわからないのか?
『事業承継ガイドライン』なるものが中小企業庁によって策定されました。
このガイドライン、とにかく濃くて素晴らしい内容で、
是非お読みいただきたいと思います!が、長いし難しい。なぜでしょうか?
その理由は、「承継するモノや乗り越えないといけないコトが、複雑多岐に渡るから」
だと、私は思います。
だって、何年も何十年もかけてやってきた事業を、
“事業承継”で数年で引き継ぐことになるのですから、単純ではないのが当然です。
でも、一つ一つポイントを確認していけば必ず理解できます!
まずは、対象者と3つの類型、を知る
主な主役は“現経営者”と“後継候補者(内外問わず)”です。
現経営者だけが考えるものだと思っていたり、
後継者側としては言い出しにくいというのが実態でしょう。
でも、ポイントは“主役はあくまでも両者である”という点、
つまり、両者が互いに協力することが必要なのです。
次に、事業承継といっても、その類型は大きく3つ、後継先によって、
- 同族内(家族や親戚)に承継
- 同族ではない役員や従業員に承継
- M&A(他社に株式を売却)
に分類できます。
つまり、後継者候補がいるかいないか、
同族かどうかによってほとんど方向性は絞られることがポイントといえます。
承継するモノはなにか、を知る
さて、事業承継と一口にいっても、承継する具体的な内容はいくつかあります。この整理ができると、更に事業承継が何かというイメージができると思います。
- 経営の承継
⇒代表取締役といった立場。また、経営者としての能力の承継。
- 株式(資産)の承継
⇒事業を行うために必要な資産や負債の承継。株式会社の場合には株式ですね。
- 目に見えない財産の承継
⇒従業員との関係、取引先との関係、など。
あたりでしょうか。
従って、ポイントとしては、“この3つをどうやって承継するか?”と考えればいいということです。
ステップ、を知る
イメージができたところで、実際に事業承継はどういった手順で行えばいいのかを確認してみましょう。
『事業承継ガイドライン』を参考にすると、
- 準備の必要性を認識
⇒事業承継には相当準備が必要なんだ!と認識することがまず重要な第一歩!
- 現況や課題を把握
⇒承継する事業はそもそもどういう状況か、また承継するに際して課題はなにか?を把握する
- 経営改善をしておく
⇒②で判明した状況や課題から、承継前に「事業の磨き上げ」をしておく
- 事業承継自体の計画と実行
といったステップです。
このうち、今回は①について見てみましょう。②以降のステップは次回以降で見ます。
ステップ①準備の必要性、を知る
「準備の必要性を認識する」とは、
「事業承継には相当な準備が必要だ、と認識すること」です。
「時間がかかる」「問題は複雑多岐にわたる」など色々な論点がありますが、
特に「時間がかかる」という認識が最重要です。
事業承継に必要な年数が約10年と言われており、
健康寿命71-75歳から逆算すると61-65歳くらいから着手しないと間に合いません。
しかし、実際はどうでしょうか?61-65歳の経営者の方は、
まだまだ現役バリバリで事業承継なんて考えていない、
または第一線で忙しくてそれどころではない、という状況だと思います。
だからこそ、この「事業承継には相当時間がかかる」という認識がまず最重要だと思うのです。
まとめ
準備の必要性を認識することが最重要と書きましたが、その前に、
「日本を支えているのは中小企業。その中小企業を元気に承継する使命がある」
という誇りもあるのです。
今回はあくまでも概論で、全体を俯瞰したにすぎません。
次回はステップ②以降のうち、どんな課題があるのか総ざらいしてみましょう。