国際税務Vol.18 外国法人の法人税率は内国法人と同じ? ~地方税率が問題に~
外国法人の法人税率は内国法人と同じ?
~地方税率が問題に~
国際税務Vol.18
こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の宮崎です。
外国法人も日本国内の源泉所得があると、法人税を納付しなければなりません。
その場合の、法人税率は日本法人と同様でしょうか?
実は、外国法人の形態により異なります。
外国法人は、日本への進出度合で4種類に分けられます。
1号PE
支店、出張所、事業所、事務所、工場、倉庫業者の倉庫、
鉱山・採石場等天然資源を採取する場所。
ただし、資産を購入したり、保管したり、
事業遂行のための補助的活動をしたりする用途のみに使われる場所は含みません。
2号PE
建設、据付け、組立て等の建設作業等のための役務の提供で、1年を超えて行うもの。
3号PE
非居住者のためにその事業に関し契約を結ぶ権限のある者で、
常にその権限を行使する者や在庫商品を保有しその出入庫管理を代理で行う者、
あるいは注文を受けるための代理人等
(代理人等が、その事業に係る業務を非居住者に対して独立して行い、かつ、
通常の方法により行う場合の代理人等を除きます。)。
4号PE
1号PEから3号PEに該当しないもの
(国税庁HPを基に加筆)
外国法人の日本支店は、
1号PEの典型例ですね。
この法人は、法人税及び地方法人税・住民税・事業税が課税されますので、
日本法人と同様の税率になります。
4号PEは、
日本に恒久的施設がない法人になります。
典型例としては、日本の不動産を購入し、賃貸する事業のみ行う法人です。
この外国法人は、法人税と地方法人税のみが課税されます。
住民税と事業税が課税されないため、日本法人より低い法人税率になっています。
住民税の国税化の流れ
なお、地方法人税とは、
住民税の一部を国税化されたことにより登場した税です。
住民税は、自治体の税源になりますが、東京に一極集中しており、
その偏在を是正するために設けられた制度です。
この住民税の国税化の流れは止まらないようです。
オリンピックイヤーの2020年4月1日以後開始事業年度からは、
地方法人税率が、現行の4.4%から10.3%になります。
かなりの増税のように見えますが、あくまでも法人税率に掛ける税率になりますので、
所得に対する税率としては、1.37%の増加になります。
オリンピック後の景気がどうなるのか、心配されている方も多いですが、
税制が不景気を推し進めることがないようにしてもらいたいです。