相続・事業承継Vol.2 国外財産調書 気になるその動向! ~出す?出さない?安心に関わるかも~
国外財産調書 気になるその動向!
相続・事業承継Vol.2
~出す?出さない?安心に関わるかも~
こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の押味です。
最近、弊社でも国際税務のお仕事が目立ってきました。
国際税務と一言で言っても、法人税、所得税、相続税と多岐に渡ります。
何事でもそうですが、何となくでも知っておくと「ピン!」とくることができるかもしれません(ギクッ!かもしれません…)。
さて今週はそんな国際相続がテーマのSUレターです。
ずばり国外財産調書です。
だんだんと認知されつつも、様子見といった方も多いと見聞きします。
そこで気になるのは、いったい実際はどのように運用されるのか、罰則はどの程度か、実際バレるのか…?!といった点ですよね。
ご紹介します。
まずは制度の概要と罰則について
罰則がかなり厳しいのはご存知でしょうか?
ちなみに、詳しい方は「しばらく罰則は課せられないんじゃなかった?」と思うかもしれませんが、
H26年分からは課せられます。
不安を抱えながら過ごすよりも、早めに提出してあからさまにした方が安心できるかもしれません。
・提出しなければいけない人…年末時点で国外財産を5000万円以上保有する方
(正確には非永住者以外の居住者)
・提出期限…翌年3月15日まで(確定申告期限と同じ)
・罰則…1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられることがあります。(偽りの記載や単純に提出しなかった場合など)。他にも5%の過少申告加算税の加算があります。
(そのほかの詳細は 国税庁パンフレットをご覧ください)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hotei/kokugai_zaisan/pdf/kaigaizaisan_tirashi.pdf/a>
国際相続は関係あるの?
今回のテーマである国際相続にどのように関係があるのか。それは、財産の状況を税務署に事前に把握されていることになる、という面です。
国外財産調書を提出すると、税務署内でシステムに登録されます。所得税の申告と併せて提出することがほとんどなので、所得税のみの制度のような気もしますが実際には、
所得税申告者の方の財産を登録する
=亡くなった場合の相続税の対象財産として既に把握されている
=相続税についても利用される!
となるでしょう。
本当に皆出しているのか?!
さて、次に実際の動向です。「提出しているのはごく一部」といったことを見聞きします。
実際、国税庁公表の資料によれば、次の通り。確かに少ないと感じます。
提出件数:約5,500千件(H25)→約8,000件(H26)
総財産額:約2.5兆円(H25)→約3.1兆円(H26)
※H27年分は未公表
どう考えれば良いか
ということで、いつかは把握されそうです。
また、税務調査があった場合には、お金の負担(ペナルティも含めて)もそうですが、心身の負担感も相当です。
実際、弊社にご依頼のある方々は、多くが「そんな不安を抱えたまま生きるのは嫌だ」「自分が相続で苦労したから、家族には苦労をかけたくない」とお思いで、
提出した後はスッキリとされています。
提出期限後に提出しても、「期限内に提出されたとみなす=ペナルティ無しでOK!」という規定もあります。
冒頭にも書きましたが、早めに提出してあからさまにして安心を得るのも一考です。