国際税務Vol.6 台湾ともっと仲良くなれる?~日台租税協定が制定されました~
台湾ともっと仲良くなれる?
国際税務Vol.6
~日台租税協定が制定されました~
こんにちは。だんだん春めいてきましたね。
島国に住んでいるゆえなかなか気軽に海外旅行、というわけにはいかない日本人ですが、台湾は近いのでお勧めです。帰りは沖縄より近い?と感じるほど。
さて今週は日本台湾租税協定がテーマのSUレターです。
台湾と日本
親日国で有名な台湾、実際に行ってみると日本語を話せる人が多く、
ほのぼのとした雰囲気でとても居心地の良い国です。
しかしながら日本と台湾には正式な国交がなく、
今まで両国間には租税条約は締結されていませんでした。
租税条約締結
しかしこの度、民間レベルで租税条約に相当する内容をもりこんだ租税協定が
2015年11月26日に制定され、2016年6月13日に発効、2017年1月1日より
適用開始されることになりました。
今回この主体となったのは、
・日本側が公益財団法人交流協会
・台湾側が亜東関係協会
という民間団体です。
正式な国家間の条約ではないため、このままでは課税面で何の効力もありません。
そこでこの取り決めを租税条約と同等に扱うための日本国内で法整備がなされました。
租税条約ができる前は…
今までは両国間で二重課税が生じても解消する手段がなかったのですが、
これでようやく可能になります。
国際化社会の現代において、ビジネスにおける二重課税のリスクはたくさん潜んでいます。
例えば日本から台湾に出張した場合、日本においては居住者として全世界所得が課税となります。
一方台湾においては90日までは課税なしですが、91日目以降は滞在日数分の給与は非居住者の国内源泉所得として課税されます。
結果的に2つの国で課税されてしまうことになります。
これを解消するために、外国税額控除制度というものがあるものの、わざわざ確定申告において手続きを取るのは面倒ですね。
租税条約の効果
租税条約があれば短期滞在者免税という規定により、
一定日数以下の滞在であれば滞在国の税金が免除されるシステムとなっています。
租税条約が無いということは、今まで日本―台湾間をまたいで仕事をすることの大きな足かせとなっていました。
しかし今後は滞在日数が年間183日を超えなければ、
やっと他国と同様に免税の恩恵が受けられることになりました。
これは個人にとってだけでなく、
従業員を派遣する企業にとってもより柔軟な計画が可能となるためメリットとなるでしょう。
また配当、利子、ロイヤリティーに関する源泉税率は10%となります(国内法では20%)。
これも両国の経済交流が活発になる要因になるでしょう。
多国籍グループ企業にとってもグループ内の資金調達、管理、技術サービスのやりとりがしやすくなります。
台湾に投資している日系企業が配当を増額しようとするかもしれません。
さらに、移転価格課税が行われた際、租税条約を締結していない国が相手だと、二重課税の調整が困難だったのですが、今後は双方の税務当局が移転価格調査を実施した際、相互協議手続により二重課税リスクを低減することが可能となります。
今後はビジネス面においても、どんどん台湾と交流を深めていきたいものです。