相続・事業承継Vol.20 事業承継概論 ~事業承継概論 その③専門家との連携編~
事業承継概論
~事業承継概論 その③専門家との連携編~
相続・事業承継Vol.20
皆様こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の押味です。
前々回、前回と、事業承継の総論からはじまり、課題の総ざらいまでをしました。
課題を把握したら、次は対応策をとること。
今回はステップ③と④ですが
ここで大きな課題があります。それは、
「そもそもそれが本当にポイント・課題なのか?(木を見て森を見ずになっていないか)」
「本当に理解している人に相談できるか?」
「本当に実行可能か?」
という点です。
その前に、ステップ③
ステップ③では、ステップ②で出た課題のうち、事前に改善しておけること、
具体的には事業自体の磨き上げ、強みを伸ばし、弱みをつぶすことです。
この点は本業のスペシャリストである経営者が中心となりますが、
例えば、
「就業体制が古い(いわゆるブラック?)」
「知的財産の管理や財務状態の管理が杜撰」
といった課題も埋もれている場合もありますので、
社労士や会計士、税理士の力を借りることもいいかもしれません。
ステップ④計画と実行…相談相手の必要性!
それでは実際に事業承継に取り組む場面を想像してみましょう。
経営者と後継者はお互いに対話を重ね、課題を把握し、
必要なことがあれば個別に専門家に相談しながら進めようとします。
しかし、そもそもお二人の分析が甘かったり、
経営や日々の業務に集中してきた2人が気付ける範囲には限界や偏りがありそう。
例えば、事業自体の承継のことは完璧に考えられていても、株式の承継には一切手付かずだったり…
株式の承継も考慮できていても、ほかの親族への手当てができていなかったり…
と、こういったことは大いにありうることです。
ではどうすればよいでしょうか?
こういうときこそ、
支援機関や信頼できる方に相談することが有用だと思います。
相談するならこの人!
前回までに見てきたような複雑多岐に渡る課題、
これに対してどういった専門家に相談したらいいか、知って、整理しておきましょう。
- 現状の課題の整理、財務状況、担保状況等の整理には…
会計士、税理士
- 株式についての整理、対策には…
弁護士、司法書士、税理士
- 相続や相続税、遺留分などについては…
弁護士、司法書士、税理士、保険会社の人など
- M&Aという選択の場合には…
事業引き継ぎ支援センター、民間の仲介業者、金融機関や士業
このあたりでしょうか。
個別ではなく、寄り添って一緒に進めてくれる人!
このように個別の論点で、それぞれ専門家はいますが、
「事業承継を頼みたい!結局誰に相談したらいいんだ!」と思いますよね。
事業承継に当たっては、一緒になって軸となってサポートしてくれる方がいたほうが絶対にいいです。
このような総合的な支援については、様々な機関が考えられます。
利用する機会が少ない機関だと見逃しがちなものですが、
重要で有益な役割をしてくれますので、
まずは相談しやすいトコロに相談してみてはいかがでしょうか。
- 金融機関
⇒近年、事業承継の重要性が増す中、
メガから地銀に至るまで金融機関においても事業承継には力を入れています。
まずは付き合いのある金融機関に相談してみるのもいいかもしれません。
- 商工会議所など
⇒所属している商工会議所などに、必ず事業承継の相談窓口があります。
専門家の紹介もしてくれます。
- 同業種団体や市区町村
⇒業種にもよりますが、相談窓口があるかもしれません。
- 専門家のうち信頼できるところ
⇒一番話しやすいかもしれません。様々な機関からのお話があった場合、
結局顧問の弁護士や税理士に相談しますね。
また、専門家のところでも明らかに頻繁に登場します。
それはつまり、事業承継に欠かせないということであり、
この専門家が「事業承継に強くて、信頼できる」と一番望ましいかもしれません。
- 国の機関
⇒支援拠点、事業引継ぎ支援センター、中小企業基盤整備機構などがあります。
まとめ
ステップ③は比較的わかりやすいです。②で出た課題を解決すればいいのです。
一方、ステップ④はどうでしょうか?
一番の課題はこの、相談できる相手がいない、ということが非常にネックだと思います。
何かを始めるときは、自分自身で勉強したあと、経験者に相談することが多くないでしょうか?
どんな専門家でも、その中で更に得意分野がありますので、
ご自身が関わりのある方がどうか検討されて、
事業承継だけはほかの専門家や支援機関に相談する、というのも手かもしれません。
今後も事業承継に関する詳論を配信していきます。お楽しみに。