その他Vol.14 減価償却費と特例 ~少額資産の取り扱い~
減価償却費と特例
~少額資産の取り扱い~
その他トピックスVol.14
こんにちは、SUパートナーズ税理士法人の木下です。
いつもご愛読いただき、誠にありがとうございます。
今年最後のSUレターとなりました。
1年過ぎるのは本当に早いですね!
さて、今週のテーマは減価償却についてです。
建物や電気設備、エアコン、パソコン、椅子など、
時の経過等により価値が減っていくものを減価償却資産といいます。
この減価償却資産は、購入時に経費(費用)とすることができるでしょうか?
確認していきたいと思います。
原則的取扱い
減価償却資産を取得した場合、取得価額をそのまま費用にすることはできません。
一度固定資産に計上し、その使用する期間(耐用年数)にわたって各年に費用を按分する必要があります。これを減価償却と言います。
例えば、12万円のパソコンを購入した場合を見てみましょう。
パソコンの耐用年数は4年ですので、1年間に費用となるのは、
12万円÷4年=※3万円となります。
つまり取得価額が全て費用になるのに4年かかるという事です。
※定額法(毎年同じ費用を計上する方法)の場合。その他に定率法(耐用年数の前半に、費用を大きく計上する方法)などがあります。
耐用年数は国税庁のホームページで確認できます。
https://www.keisan.nta.go.jp/survey/publish/34255/faq/34311/faq_34353.php/a>
ここからは、減価償却の特例です。
少額減価償却資産は即時償却
取得価額が10万円未満のものや使用可能な期間が1年未満のものについては、
取得した年に取得金額を全て費用にすること(即時償却)ができます。
一括償却資産は3年間で按分
10万円以上のものでも、20万円未満のものについては、
一括償却資産として、3年間で費用にすることができます。
上記のパソコンの例だと、1年間に費用となるのは、12万円÷3年=4万円で、
原則による減価償却よりも費用を大きく計上できます。
廃棄時等には不利になる
一括償却資産は、廃棄や売却したとしても、
3年間にわたって費用にする必要があります。
上記のパソコンを2年目で廃棄した場合を見てみましょう。
原則による減価償却ですと、
2年目で費用化していない9万円(=12万円-3万円)を全て費用とすることができます。
しかし、一括償却資産の場合、2年目にも4万円、3年目にも4万円と、
たとえ廃棄等していても廃棄等がないものとして費用に計上していくことになります。
中小企業者等は30万円未満で即時償却
青色申告をしている※中小企業者等については、
取得価額が30万円未満のものを購入した年に即時償却することができます。
ただし、年間として取得価額の合計が300万円までとなります。
たとえば、28万円のパソコンを11個購入した場合、10個までは即時償却できますが、
11個目は300万円を超えるため、即時償却できません。
※中小企業者等とは、
資本金が一億円以下の法人で常時使用する従業員の数が1,000人以下のもの。
ただし、資本金が1億円超の法人に支配されている場合などには該当しません。
個人事業主の場合は、常時使用する従業員の数が1,000人以下のものが中小企業者となります。
中小企業者等の特例と一括償却資産
さて、ここで問題となるのが、
上記の中小企業者等が10万円以上20万円未満の減価償却資産を取得した場合です。
20万円未満なので一括償却資産として3年償却できますし、
30万円未満でもあるので即時償却もできます。
選択できるのなら、即時償却した方が有利なように思われますが、
実はそうとは限りません。
年間300万円を超える場合
中小企業者等の規定は、年間300万円しか即時償却できません。
したがって、大量に資産を購入した場合には、
20万円超30万円未満の資産を優先して即時償却し、
10万円超20万円未満の資産は一括償却資産を選択した方が有利となります。
償却資産税について
償却資産税についても考える必要があります。
建物や土地なら固定資産税が、車両なら自動車税がかかります。
それと同じく、機械や構築物、器具備品などについては償却資産税がかかります。
課税標準額に年間1.4%の税額となります。
パソコンなどを購入すると償却資産税がかかるのが原則ですが、
10万円未満で即時償却をしたものや一括償却資産を選択したものについては、
償却資産税の対象外となります。
一方、30万円未満の即時償却を選択した場合、償却資産税はかかります。
一括償却資産ですと、費用化に3年かかるが、償却資産税がかからないのです。
なお、課税標準額の合計が150万円を超えない限りは、
償却資産税は免税となります。
あまり資産を取得されない方は、償却資産税を考慮する必要はありません。
取得単位について
10万円未満などの判定は、通常1単位として取引される単位ごととなります。
例えば、応接セットの場合、通常はテーブルと椅子が1組で取引されますの
で、
1組で10万円未満かどうかの判定となります。
事業の用に供する必要あり
様々な費用処理の仕方をお伝えしましたが、
上記の規定は取得した年に事業の用に供する必要があります。
そのため、使わない資産をたくさん取得したとしても、
節税対策にはなりませんのでご注意ください。